コンサルする会社なのに倒産!?

一週間前の記事になりますが、コンサルティング会社の倒産件数が過去最多という、同業として少しカッコ悪いニュースが飛び込んできました。

「経営のプロ」コンサルの倒産が過去最多 顧客ニーズの高度化と求められる専門性、淘汰が加速(東京商工リサーチ) – Yahoo!ニュース

「経営のプロ」として中小企業を支援するコンサルタント業界ですが、倒産件数が過去最多を記録しています。この現象は、コンサルタントの質や顧客ニーズとのギャップが原因であると指摘されています。本記事では、その背景と、コンサルタントとして求められる姿勢について解説します。


倒産の原因を考える

コンサルタント業界の倒産増加の背景には、以下の4つの要因が挙げられます。分かりやすいく言うと、コンサルタントから見ても国内市場は縮小しているため、実力のないコンサルタントがどんどん淘汰されているということです。特にコロナ禍に乗じた補助金バブルの恩恵を受けただけのコンサルティング会社は、経営コンサルティングができないため存在価値を見失ったのだと考えます。

  1. 参入障壁の低さによる質の低下
     コンサルタント業界は資格や経験が必須ではなく、容易に参入できる職種です。そのため、経営理論や実務経験が不足しているまま「コンサルタント」を名乗る人が増えています。これにより、効果の薄い助言や適切でない対応が横行し、顧客企業の不満を招いています。
  2. 顧客ニーズの高度化と多様化
     デジタルトランスフォーメーション(DX)やESG経営といった新しい課題が企業に求められる中で、これに応えられる専門性を持つコンサルタントが不足しています。特定分野における深い知識がないまま提案を行い、結果的に期待を裏切るケースも少なくありません。
  3. 経済状況の悪化
     物価高や景気の減速が続く中、企業の資金繰りは厳しさを増しています。コンサルタントへの支払い余力が減少し、付加価値を提供できないコンサルタントほど依頼が途絶え、淘汰されています。
  4. 補助金の採択率低下
     特に小規模事業者にとって重要な資金源である補助金。コンサルタントの支援を受けたとしても、採択率が低下している現状では結果につながらないことも多くあります。採択されなければ顧客企業の満足度が下がり、コンサルタントへの信頼失墜にも直結します。

コンサルタントとしてあるべき姿を追求しなければなりません

このような状況で、コンサルタントが生き残り、顧客から信頼を得るためには、以下の姿勢が必要だと考えております。

  1. 実務経験と理論の両立
     経営理論だけではなく、現場の経験に基づいた助言が求められます。企業ごとの状況を的確に把握し、机上の空論ではない現実的な解決策を提供することが重要です。
  2. 専門性の深化とアップデート
     例えば、補助金申請支援であれば、制度の最新動向を把握し、採択されるための具体的な戦略を提案できる力が必要です。また、DX支援や環境経営などの新しい分野にも対応する専門知識を積極的に学ぶ必要があります。
  3. 誠実で持続可能な関係の構築
     一時的な利益にとらわれず、顧客との長期的な信頼関係を重視します。透明性を持ち、顧客企業の課題解決に誠心誠意取り組むことで、結果的に自身の信用も向上します。
  4. 採択率向上に向けた精密な支援
     補助金の採択率向上には、単なる申請書作成ではなく、企業のビジョンに沿った説得力のある計画提案が求められます。財務分析や市場調査を丁寧に行い、申請書の内容を具体的かつ現実的にすることが、顧客満足度と自身の信頼向上につながります。

中小企業の成長に寄り添うプロでなくてはならないということ

中小企業診断士や認定支援機関は、顧客企業の課題解決に全力を尽くすことを使命としています。

  • 採択されるための詳細な計画の策定
  • 顧客企業の経営課題に即した実効性のある提案
  • 最新情報の収集とその活用

中小企業の課題は多様であり、解決策を提供する私たちコンサルタントも進化し続ける必要があります。企業の成長をともに支え、信頼されるパートナーとしての役割を果たすことが、業界全体の質を高める道だと信じています。